このブログでも紹介したように、Cov2のコードするタンパク質のうちOrf6はimportinに結合してSTAT1の核内移行を妨げて、IFN-Iシグナルを抑える(https://aasj.jp/news/watch/12749)。イベルメクチンはOrf6のインポーチン結合を阻害してIFN-I誘導を回復させるから、抗ウイルス薬として使える。さらに、PLproプロテアーゼはIRF3からISG15を引き剥がして、IFNβが誘導されるのを防ぐ(https://aasj.jp/news/watch/13619)。重要なことはISG15自体、IFN-I/STAT1により誘導され、Orf6にも間接的に関わることから、Cov2はIFN-Iシグナルを抑え、加えてIFN-Iの誘導自体も抑える仕組みを持っていると言える。このブログでは紹介していないが、これに加えてウイルスRNAのCapメチル化を通して、侵入したばかりのウイルスRNA が自然免疫系に感知できないようにするメカニズムも持っている。

もちろんこれらの仕組みは、感染したウイルス量依存的で、ある意味で自然免疫とウイルス感染量とのせめぎ合いで、自然免疫を強く抑制できると、自然免疫の方が低下して、多くのウイルスが分泌され、結果重症化していくというシナリオが考えられる。