初期型ウイルスと考えられる新型コロナウイルス武漢型のゲノムをもとに、世界のウイルスゲノム7804種類から系統樹を作成して遺伝子解析を行った。
新型コロナウイルスの遺伝子変異には特徴があり、ウラシル(U)への点変異が3500回以上と突出して多く、遺伝子変異に偏りがあった。
新型コロナウイルスの変異は、シトシン(C)からウラシル(U)への変異が多く、かつ塩基配列に特徴があり、RNA編集酵素による変異と一致していた。
新型コロナウイルスの変異型のうち日本型を含む4種類の変異型ゲノムから変異部分を人工合成したRNAを用いて、ヒトマクロファージ細胞株に疑似感染させたところ、
自然免疫を担う炎症性サイトカインの産生が増強した。
ヒト感染におけるウイルス排除の選択圧により、新型コロナウイルスは変異し続けると考えられた。
変異の可視化の実現によりウイルスの重症化分類が可能となると考えられた。


概要

新型コロナウイルスでは変異型の存在が知られていますが、
その特徴についてはわかっていませんでした。東北大学加齢医学研究所生体防御学分野西井慧美助教、
薬学研究科小菅将斗大学院生らは、新型コロナウイルスのゲノム7804種類を解析し、
新型コロナウイルスの遺伝子変異は、ウラシル(U)への点変異が突出して多いことを発見しました。
この変異には塩基配列に特徴があり、ヒト由来のRNA編集酵素によるものと考えられます。
日本型を含む4種類の変異型新型コロナウイルスゲノムから変異部分を人工合成したRNAを用いて、
ヒトマクロファージ細胞株に疑似感染させたところ、自然免疫を担う炎症性サイトカインの産生が増強しました。
新型コロナウイルスは、ウイルスを排除しようとする生体防御機構を利用して変異を続けていると考えられます。

ウイルス疑似感染モデルにおいて、炎症性サイトカインであるTNF-α,IL-6の産生はウラシル(U)が含まれないRNAではあまり産生されなかった。
武漢型RNAと変異型RNAの比較においては、ジョージア型の変異部位配列は、それに対応する武漢型配列でも高い産生を認め、
漢型とジョージア型で有意差を認めなかったが、日本型、フランス型、オーストラリア型の変異部位においては、
変異型RNAが、武漢型に比べTNF-α,IL-6の産生の増強が顕著であった。また、これらRNAは、主にTLR7を介してサイトカイン産生を誘導していることも明らかとなった。
https://research-er.jp/articles/view/93221

BCG確定?