「今より5代250年を経て、世の様変わり果てなむ。
切支丹の法いよいよ盛んになりて、空を飛ぶ人も現はれ、地をくぐる人も出るべし。
風雲をかりて雷電を益するものもあらむ。死したるを起こす術もあるべし。
さるままに人の心も漸く悪となりて、恐ろしき世の相を見つべし。
妻は夫に従はず、男は髪長く色白く痩せ細りて、戦の場になぞ立つこと難きにいたらむ。
女は髪短く色赤黒く袖無き着物を着、淫に狂いて父母をも夫をも、その子をも顧みぬ者も多からむ。
よろず南蛮の風を学び、忠孝節義はもとより、仁も義も軽んぜらるべし。
かくていよいよ衰えぬるそのはてに、地水火風空の大いなる災い起こりて、世の人十が五まで亡び異国の軍さへ攻め来るべし。
この時神のごとき大王いでまい、人民悔い改めてこれに従ひ世の中再び正しきに帰りなむ。
其の間、世の人狂い苦しむこと百年に及ぶべし。」

解説
この「をのこ草子」は、世に出たとされる1730年から数えて250年後の、1980年以降の予言が記されており、
「空を飛ぶ人(飛行機)」や「地をくぐる人(地下鉄)」、「死したるを起こす術(医療技術の発展)」など、
私たち現代人の生活・価値観・心の在り方の変化なども詳細に書き連ね恐ろしく言い当てている。