最後に“トンデモ理論”もいくつかご紹介しておきます。

〈ワクチン注射を打つとまず、猛毒“スパイク”が体内で増殖します。わかりやすく
言えば、コロナの猛毒“トゲ”が大量にできて、血流に乗り全身をめぐる。そのとき、
“トゲ”が血管の内皮細胞に刺さる。そこが炎症を起こす。すると腫れて血栓となる。
この血流不全は万病を引き起こします〉(『コロナワクチンの恐ろしさ』p.31)

 冒頭でご説明したように、スパイクタンパクとは、新型コロナウイルスの表面に見られる
トゲトゲとした突起状の部分です。それを実際のトゲのようなものだと説明していますが、
誤りです。スパイクタンパクが血管につきささって血栓症を引き起こすなんてことは
あり得ません。

 なお、血栓症については、英アストラゼネカ社製のベクターワクチンで、接種後ごく稀に
(約25万回接種に1回)特殊な血栓症が起こることが報告されています。
このことから、日本ではアストラゼネカ社製のワクチンは、血栓症が比較的起こりにくい
40歳以上の方に限定した使用となっています。

 現在、日本で広く接種が進められているファイザー社・モデルナ社製のmRNAワクチンに
ついては、血栓症との関連は認められていません。

(以下略)