無加害原則
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無加害(無危害)の概念は、「まず第一に、害を与えない(first, do no harm,)」というフレーズ、またはラテン語の「primum non nocere」から由来するものである。多くの人がそれが主、または主な考慮事項(したがって一次的考察)とすべきだと考えている。つまりそれは、患者に良いことをするよりも、害を与えないことがより重要であるということになる[31]。これは、熱心な医者が、患者に良いと思って色々治療したが、最初にそれら治療法を十分に評価していないため結果的に害を加えることになったというようなケースがありうるからである。よく「治療は成功したが、患者は死亡した」などと言う表現があるように、結果として患者に対して多くの危害が加えられたのである。

善を行うことよりも害を与えないことが重要であるだけでなく、あなたの治療が患者に害を及ぼす可能性がどれほどあるのか、を知ることも重要となる。したがって、医師は自分たちが有害であると知っている薬を処方しないだけでなく、さらに先に進むべきです - 治療が有害である可能性が低いとわかっていない限り、彼または彼女は薬を処方するべきではありません。あるいは、少なくとも患者がリスクと利益の両方を理解しており、利益がリスクよりも上回る場合に限るべき、ということである。

しかし実際には、多くの治療法は害を及ぼす危険性がある。 状況によっては、例えば治療なしでの結果が重大であるような絶望的な状況では、治療しないことのリスクも害を及ぼす可能性が非常に高いので、患者に害を与える可能性が高い危険な治療が正当化される。したがって、2つの原則の効果が一緒になると二重の効果(後述する)が生じることが多いため、 無加害原則は絶対的なものではなく、 与益原則とのバランスがとられる。また、血液サンプルの採取や薬の注射のような基本的な行為でも、患者の体に害を及ぼすものである。安楽死はまた、患者が医師による治療の結果として死亡するため、与益の原則に反するものである。