ドンキホーテホールディングス(HD)は、2019年2月1日に社名を
「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」に変更する方針を示した。

 ドンキHDの大原孝治社長は10月11日の会見で「ドンキの名がなくなることは、(われわれの)強い決意の表れである」と語った。
なぜ、同社は「ドンキ」の名前を捨て、「環太平洋」を意味する「パン・パシフィック」を新たに社名に取り入れるのだろうか。

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ドン・キホーテの店舗外観

海外進出をさらに加速
 ドンキHDは社名変更の理由について「新業態をグループ各社とともに今後も開発し(中略)日本のみならず環太平洋地域において小売業の有力な企業として発展していくため」としている。大原社長も「世界に冠たる業態を築く」と意気込む。

 ドンキHDは国内において、ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」や生鮮食品の取り扱い量が多い
「MEGAドン・キホーテ」だけでなく、ホームセンター「ドイト」や総合小売業の
「長崎屋」なども運営している。さらに、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)から、
総合スーパー(GMS)であるユニーの全株式を取得することが決まっている。

 同社は海外進出にも積極的で、シンガポールと米国で計39店舗を運営している(18年10月時点)。
例えば、シンガポールでは日本製の食品や手軽に持ち運べるモバイルフード(焼き芋やアイスクリーム)などを販売する
「DON DON DONKI」を展開している。また、カリフォルニアでは日本からの輸入食品や雑貨などを扱う
「TOKYO CENTRAL」の出店を進めている。特に、10月13日にオープンする
「TOKYO CENTRAL ヨーバリンダ店」は、現地法人のM&Aや業態転換ではなく、
「ドン・キホーテグループ初の米国新規出店」と位置付けている。

 つまり、同社は「ドン・キホーテ」や「MEGAドン・キホーテ」にとどまらず、国内外ですでの多くの新業態を開発しているのである。

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国内でこれだけの業態を展開している(出所:ドンキホーテHD公式Webサイト)

ユニー・ファミマとの連携で加速する海外進出
 10月11日、ユニー・ファミマHDはドンキHDに2割超の出資をすると発表した。
今後、両社は幅広い分野で連携を強める方針を打ち出している。

 大原社長は新たに進出する候補地として「ファミマが強い地域」を挙げた。
現在、海外のファミマは台湾やタイなどを中心に7000店舗以上ある。
さらに、ファミマや伊藤忠が築いてきた各国企業とのパートナーシップを生かして、進出を加速させる意向も示した。

 このように、ドンキHDはグループの持つ経営資源やノウハウを活用することで、
「オンリーワン業態を創造し、新しい市場に挑戦する」という方針を打ち出している。
しかも、この方針は「地域密着の個店主義によって競争力を高める」(大原社長)という従来の戦略と大きく変わるものではない。

 「ドンキ」の名をあえて新しい社名から外した背景には、ドンキ以外の業態を積極的につくりあげていく意図があったのである。

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10月13日にオープンする「TOKYO CENTRAL ヨーバリンダ店」(米カリフォルニア州)のイメージ

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