序章 異世界の部活動に入部するまで
第1話

「ゲームセット! ウォンバイ――」
(……負けた)

 最後の公式大会が今、終わりを告げた。
 高校生になってから運動がてら始めたテニスだったが、思いのほか面白くて部活に入った。
 部員数ギリギリの弱小学校だったけど練習に練習を重ねて大会の上位に食い込めるようにはなった。

 だけど、終わった。

 悔いはないと言えば嘘になる。
 今だってネットを挟んで相手選手と笑顔で握手しているものの、油断をすれば涙が溢れそうだ。

「君、高校からテニスを始めたんだって? 凄い才能と努力だね」
「はは、ありがとうございます」

 勝者から向けられる賛辞ほど鬱陶しいものはない。
 俺は適当に返事をして部長達の元へと向かった。