板室「どうして田畑はファンに狙われるんだ?」
野村「田畑は意識高い系。空気が読めないんだとさ」
野島「…なんだとさ、だって? あんた上司なんだろ?」
野村「…本当の上司じゃないんだよ。あれはそう、数年前……社内改革でね。わたしのヴェルサスチームはFF14に行ってた。ある日、開発再開って手紙を貰ったからわたしは新宿駅までむかったのさ。」
野村「ヴェルサスは帰ってこなかった。チームになにかあったんだろうか?いや、再開が取り消しになっただけかもしれない。わたしは毎日新宿駅へ行った。ある日……」
テクモのそばで泣いている幼い田畑を見つける。
野村「業界ではよくある風景だったね。田畑を安全なところへ。そう言い残してテクモは吸収された。ヴェルサスは帰らず、KH3も作れない。私も寂しかったんだろうね。田畑をスクエニに連れて帰る事にしたんだ…。」
野村「田畑はすぐに私になついてくれた。よくしゃべる子でねえ。いろいろ話してくれたよ。テクモはコーエーに帰っただけだからさびしくなんかない……いろいろね」
田畑「哲さん。泣かないでね。哲さんの大切なヴェルサスが死んじゃったよ。心だけになって哲さんに会いにきたけどでも、死んでしまったの。」
野村「わたしは信じなかった…。でも…。それから何日かして… 配置転換の知らせが届いたんだ…。」
松田「田畑を新ディレクターとします。ずいぶん探しました。」
田畑「いやっ!絶対にいやっ!」
松田「田畑、君は特別な血をひいている。『恥知らず』の血だ。極上のプレゼンは500万本の出荷に我々を導いてくれるのです。ヴェルサスから待ちわびたファンにひと時の夢を与えることができるのです。」
田畑「違うもん!田畑詐欺師なんかじゃないもん!」
松田「でも田畑、君は時々誰もいないのにドンペリで乾杯しているだろう?」
田畑「そんなことないもん!」
野村「でも私にはわかっていた。あの子の人格。一生懸命隠そうとしていたから私は気が付かないふりをしていたけどね。」