「嘘だろ、財布がない。鍾離先生は」
「出発時から持ってきていないぞ」
晩餐を終え、会計の際に事件が起きた。
公子殿はスリに遭ったようだ。
それからは早かった。
俺と公子殿は無銭飲食の罪で晴愛グループの地下労働に落とされることとなった。
だが、晴愛グループ総帥・刻晴との交渉を経て、月遂い祭伝統の太鼓大会の優勝が叶えば見逃す契約を結ぶに至った。
そういうわけで、俺は舞台上に立っている。
「行くぞ、公子殿」
「いいよ、いつでも行ける」
ぱん、と服が弾け飛び、全裸となった俺と公子殿は"太鼓"の演奏を始めた。
「はっ!」「はっ!」「アイッ!」「アイッ!」
男根を公子殿の尻に打ち込む。肉を鳴らす音が響き渡った。
初めは唖然としていた観客もすぐに情熱に飲まれ、熱狂する。
真の芸術に小道具は不要だ。
「中止っ! 中止よ! こんな演奏は認めないわ!」
刻晴は声を上げたが、聞き入れる者はいない。
生レイプの奏でる妖しき旋律は、肛門の激臭と共に魂を震わせる。
次第に、刻晴の目にも感涙が浮かぶ。
今年の月遂い祭は伝説の回となり、その後、璃月港にはアナルドラム像が建てられることとなった。