「お待たせしました、桃井さん」
「おかえり彰人くん。遅かったわね?」
「あー……この階のトイレは清掃中で下の階まで行ってたんですよ」
「ふふ、運が悪かったわね」
「笑わないでくださいよ!……ほら、行きましょう」
「ごめんごめん!」
(配信企画の買い出しがあるって絵名に話したら、まさか彰人くんを荷物持ちに貸してくれるなんてね。ふふ、デートみたい!彰人くんがやけに後ろを歩きたがるのは不思議だけど……てか絵名、絶対わたしの気持ち分かっててやってるわよね?まったく……今度絵名にお礼しなきゃ)
「付き合ってくれてありがとね、彰人くん。お礼にどこかカフェでも奢るわよ。どこがいいかしら?」
「……その前に、話があるんですけどいいっすか」
「えっ?う、うん……」
「あの、これ」
「これって……さっき気になってた服屋さんの袋?」
「あ、やっぱり気になってたんですね。良かったです」
(う、うそ!さっきのトイレは嘘だった…ってコト?!この状況、咲希ちゃんに借りた少女漫画で見たことあるわ!そんな……彰人くん、もしかして……!?)
「わ、可愛いスカートだわ。どうしたの急に?」
「桃井さん、実は……」
(なにその真剣な表情!?顔がいいわね?!って、まさか告は……)
「……血、漏れちゃってます」
「へ?……えっ!やだわたし……!き、着替えてくるわね!」
「はい、ここで待ってます」
(うわー!!!!やらかした!!4日目だからって油断してたわ!恥ずかしくてしばらくトイレ行ってなかったし……後ろを歩いてたのは隠してくれてたのね。このスカートも、血がもう一度ついても目立ちにくい色だわ……はぁ〜〜〜……死ぬほど恥ずかしいけど、気遣いのできる一面が見れて…ちょっと良かったかも……)キガエキガエ

「あ〜もしもし、杏?おう、ちゃんと渡せたけど……オレ失礼じゃなかったかな。あ?そりゃ絵名だけじゃなくてお前やこはねも世話になってるっつー相手ならそりゃ気を遣うだろ。何笑ってんだよ。でもまぁ、助かった。こういうとき相談できる彼女がいて良かったわ。ん、また練習でな。……なんだよ、そっちが切れよ〜♡はは、じゃあほんとに切るからな!桃井さん来たから!切るぞ!じゃ!」
「おまたせ!本当に助かったわ。ありがとう彰人くん」
「桃井さん。……良かった、今のコーデと合ってて」
「彰人くんってセンスがいいのね!オマケに気遣いもできて……ねぇ、この後時間あるかしら?」
「はい、練習の時間までまだあるので大丈夫ですけど」
「それならお礼とお詫びもかねて、いいケーキ屋さんに行きましょ!絵名へのお土産までつけてご馳走するわ」
「え、桃井さんが言うとこって絶対高いところですよね?そんな、悪いっすよ」
「いいのいいの!ここは年上のお姉さんにどんと任せなさい!」
「じゃあ……お言葉に甘えて。チーズケーキのある所でお願いします」
「ふふ、了解!」
(本当に素敵な男の子だわ。あーヤバい、にやけちゃう!でもここは抑えて……思い出のたくさん残るいい日にしなくちゃね!)
(あんま仲良くしすぎると杏が嫉妬するかもしれねぇんだけど……ま、桃井さんとはなんもねぇからいいか)