マリオを生んだゲーム界の先駆者、宮本茂
ローランド リチャード
2014年10月30日
http://rickyreports.jp/archives/miyamotoshigeru/
RR:
近年エンターテイメントの媒体としてOculus Riftなど仮想現実空間(VR)に没入できるデバイスが普及しつつありますが、宮本さんはどうお考えでしょうか?

宮本:
今の任天堂が目指すのは家族のリビングであって、皆にとって楽しいゲーム機です。
一人がゴーグルを被って遊ぶっていうのは非常に相性が良くないですね。
例えば自分が親だと子供に被らせて一日中遊ばせたくないとか、そういう課題がまだあるんですね。
その点では長い時間をかけて考えていきたいと思いますね。

RR:
ゲームが親に問題視されたり、社会問題の要因とみなされたりします。

宮本:
スマートフォンやVRゴーグルなど、装置そのものは悪いものじゃないと思うんですよね。
そればっかりする事が問題で、特に子供たちには色んな事を経験させたいです。
表で遊ぶことも勉強する事も、本を読むことも、全部バランスよくすることが大事です。
だからビデオゲームなんかが犯罪の元みたいな言い方をされますけど、なにか1つのことにはまったり、
人とのコミュニケーションを取らなくなったりした結果なので、それを1つの装置の責任にするのはおかしいと思います。

RR:
将来クリエイターになりたい方へのアドバイスは何でしょうか?

宮本:
すごく真面目な答えなんですが、僕がマンガ家になりたかった子供の頃に、誰かのマンガをコピーするんじゃなくて自分のものを書きなさい、って言われたんですね。
それと同じくゲームが大好きな人達ってそのゲームをもとにゲームを考えますが、プロになるつもりなら自分でしか考えないものを作るべきです。
だから若い人たちは、ゲーム以外のたくさんの経験をするべきですね。
また何か1つの技術を身に付ける。プログラミング、アート、音楽でもなんでもいいので、なにか1つ技術を身に付けておく。
この2つに注力したほうがいいですよ。で、時間が余ったらゲームをすればいいと。