「アンパンマン」と「正義」の功罪  沖縄タイムス

最後の「きめ」でアンパンマンが「アンパンチ」するときは、保育園の子どもたちみんなが大合唱になる。
…そう、アンパンマンは、正義の味方…、ではなくて、怒って、(心の中で)殴って蹴り飛ばす、
攻撃性放出のためのストーリーなんです。

これらストーリーに共通してあるのは、前半で悪いやつが徹底的に悪いことをして、
いいやつが徹底的に被害を受けるってところです。
ここで大切なのは、いいやつは「いいことをする」というよりも、被害を受けるのです。
そこで見ている私たちは、「こいつ(悪役)は殺されるだけでは足りない」と思うほど、怒りとリベンジに震え、
最大限に攻撃性を放出させるようなストーリー展開にするわけです。
そして最後に、悪役はやられるわけです。

でも、よーく考えてみると、最後に悪役のやっつけられ方のほうが、
最初彼らがやった加害行為よりも数倍ひどく残酷なやられ方(殺され方)だったりするわけです。

アンパンマンだってそうです。バイキンマンは決して、アンパンマンやその仲間を、
お山の向こうにぶっとばすようなパンチをおみまいしたことはないはずです。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/50253