野村へ

この手紙をもって僕のゲームクリエイターとしての最後の仕事とする。
まず、僕の病態を解明するために、北瀬さんに病理解剖をお願いしたい。
以下に、FF病治療についての愚見を述べる。
FF病の根治を考える際、第一選択はあくまでスタッフの入れ替えであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実にはFF15の場合がそうであるように、
発見した時点で転移や播種をきたした進行症例がしばしば見受けられる。
その場合には、経営陣の刷新を含む全身治療が必要となるが、
残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。
これからのFF病治療の飛躍は、スタッフの入れ替え以外の治療法の発展にかかっている。
僕は、君がその一翼を担える数少ないクリエイターであると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君にはFF病治療の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、FF病による死がこの世からなくなることを信じている。
ひいては、FF15の屍を病理解剖の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
屍は活ける師なり。
なお、自らFF病治療の第一線にある者が早期発見できず、手術不能の癌で死すことを心より恥じる。

財前五郎