テニスの試合中、大坂なおみの膣から突然大量の血液と伴ってバレーボールほどの球体が飛び出した。
その球体は表面に血脈を這わせ、ぬらぬらと乳白。
血の海となったテニスコートにごろりと転がるそれは、怪しい輝きを放っていた。

「排卵だ!」
誰かとともなくそう叫んだ観客がいた。
疑うところもなし、それは紛れもなく大坂なおみの排卵であった。
下半身を鍛えた黒人女の卵子はここまで大きくなるものなのか、皆唖然とした。
その卵球に秘めたる生殖能力は、一体いかばかりになるであろう。

その卵子ボールを、コートの中央の土管をとおって出てきたマリオ姿の安倍晋三が持ち上げ、両の手で天高く掲げた。

2020年夏、東京オリンピックの開幕である――。



読売新聞