https://www.pen-online.jp/news/culture/creatorsvoice_191101/1
独立後、なぜインディーズの道を選んだのか。
彼は、後に続く人々のために「自ら道をつくりたいから」と言う。

「5年以内にエンタメは大きく変わると思うんですよ。
その先にあるのはAIがクリエイターを支える時代で、
AIがエージェントの代わりになり、スタッフも探してくれる。
そこに向けて『インディーズでもできるぞ』と示さなきゃならないと思ったんです。
よく『ゲーム会社から独立して、成功した人はいない』と言われましたよ。
でも僕が足跡を残していけば、モノづくりが変わるんじゃないですかね」

とてつもない広がりを予感させる『デス・ストランディング』の世界。しかし開発スタッフは決して多くない。

「80人くらいしかいません。普通は600人くらい必要ですが、少ない方が最初のビジョンからブレないんです」

少人数態勢は「これまで存在しなかったゲームや作品」をつくる小島の在り方に沿う。
前例のない目標は、多くの人に理解させることが難しいのだ。

「世の中にないものって、説明してもわからない。
新しいものをつくる時って、身内がいちばんネガティブなんですよね。
ただ、僕の経験上『こんなゲーム売れへん』と言われたものこそ新しく、大ヒットする確信がある(笑)。
とはいえ、ずっと孤独ですよ。だからひとりずつ仲間を増やしていくんです」

彼をゲームづくりに導いたのは、ふたりの天才ゲーム・クリエイターだ。

「ひとりは『スーパーマリオシリーズ』の宮本茂さん。
マリオは二次元の世界で走ってジャンプするだけなのに、
レンガを割るとなにか出てきたり、奥行きがあるのに驚いて。
もうひとりは堀井雄二さんです。
『ポートピア連続殺人事件』はファミコンなのにドラマがある。
僕は映画監督になりたかったんですが、
ゲームの世界でやりたいことができるんとちゃうかな、と思えた」

海外から映画づくりのオファーも次々と来るが、やはりゲームづくりを優先しそうだという。