辻本: 『モンスターハンタークロス』の購買データをチェックしたところ、小学校高学年から中学・高校・大学生と、
若いユーザー層がボリュームゾーンとして浮かび上がってきました。
初期から楽しんでいただいている方々は、今ではほとんどが社会人になっているでしょう。
その点、多くの若い方々を取り込めたということは、「モンスターハンター」ブランドの“活性化”につながったわけですから、
『モンスターハンタークロス』は非常に意味のあるビジネスだったと評価しています。

 「モンハン現象」と呼ばれるブームを生み出したのは、学校の帰りや喫茶店のような所で仲間と集まって遊んでいただいていたユーザーの方々です。
彼らのような「モンスターハンター」に対する支持の高かったユーザー層が、
『モンスターハンター4』や『モンスターハンター4G』では、若干少なくなっていました。

 シリーズ作品は年数がたてばユーザー層の年齢が上がるのも仕方のないことかもしれません。
しかし、カプコンはシリーズ作品を“ブランド”と認識し、大切にしている会社です。
それを維持していくには、シリーズを開発した当初設定した対象年齢の方々の購買意欲を、
現在においても再び喚起するようなブランディングを行うことが重要です。

確かに、シリーズを追いかけて購入してもらっているお客さんが大切だというのが実情です。
しかしデータを取ると、ロングセラーシリーズはコアだったユーザー層の年齢も上がっていることがはっきりしています。
彼らを意識しすぎると、開発やマーケティングのポイントが、当初想定していた年齢層やユーザー層とズレてしまう恐れが出てくる。
ならば、本来のターゲットに再度フォーカスを当て直して取るべきユーザーを獲得する。
それによって、これまでのユーザー層とうまく融合させることができれば、新たなボリュームゾーンができるはずです。

 ユーザーの年齢層が多重化すれば話題も拡散しやすくなりますし、カプコンが得意としている「ワンコンテンツ・マルチユース」のビジネスも展開しやすくなります。
2015年はそうしたことを考えながら戦略を立ててきました。

私の肌感覚ですが、リアルイベントの「モンスターハンターフェスタ」には、実に幅広い層の方々に来場していただいたと感じています。
ティーンエイジャーから比較的年齢の高い方、仲間同士、女性同士、カップルや家族など……。
こうした状況を見ると、『モンスターハンタークロス』の発売によってまた新たなユーザー層への浸透が図れたのではないかと思います。