サイハラ「天海くんを写した2枚の動く本棚の写真。僕はあれをずっと疑問に思っていたんだ」
ユメノ「んあ!?急になんじゃ?疑問とはどういうことじゃ?あれは白銀が天海を殺した事件じゃろ?」
サイハラ「僕もずっとそう思っていたんだ。でも、冷静に考えると少しおかしいよ。だって、あの2枚目の写真は本来撮られないはずなんだ」
ハルカワ「撮られないってどういうこと?単に防犯センサーに反応しただけでしょ?」
サイハラ「動く本棚の防犯センサーは動く本棚が動いたら作動するように設置していたんだ。でもあの2枚の写真では本棚は開いたままなんだよ」
ユメノ「天海がカメラのフラッシュに気付いて扉の前から離れたことで一度本棚が閉まり、その後白銀が隠し扉から現れるために本棚を動かしたんではないか?」
ハルカワ「カメラのインターバルが30秒あったことを考えれば、その中間の写真がないのは別に不自然じゃないよね」
サイハラ「いや、その可能性はないと思う。だって、白銀さんは本当なら赤松さんの殺人を成功させたかったはずだ。
コロシアイ促進BGMだって、きっと赤松さんの計画を知った首謀者が、その音が聞こえて失敗することを考慮して鳴らしたんだろうしね。
それなのに犯行の正否すら確認する前に隠し扉から飛び出すなんて考えられない。
いくらフラッシュでおびき寄せてるといっても、自分の背後でいきなり隠し扉や動く本棚が動いたら、天海くんだってその場を離れてしまうよ。」
ハルカワ「うーん・・・そうすると、動いた本棚を誰かが動かした、とか?」
サイハラ「うん、僕もそう思う。あのカメラに映らなかった誰かが、ほんの少し本棚を動かすか何かして、そのせいで2枚目の写真が撮影されたんだ。」
ユメノ「だ、誰かって誰じゃ!?あの事件の犯人は白銀で決まりじゃろう。あのカメラに映らなかった誰かがいたなんて証拠はないぞ!」
サイハラ「それは違うぞ!証拠はあるんだ。動く本棚だよ。」
ハルカワ「動く本棚は開いたままなんだよね?だったら誰もいなかったことの証拠になるんじゃないの?」
サイハラ「いや、逆なんだ。あの本棚は開けたままで離れると自動的に閉まってしまうんだ。無論30秒も経たずにね。
だけど、あの扉は30秒のインターバル後の写真でも開いたままだった。かといって、一度閉まったものを白銀さんが開けたとも考えられない。」
ハルカワ「そうか・・・あの場に誰かが動く本棚の近くにいたままだったら・・・」
サイハラ「そう、そのあの場にいたもう一人の第三者に反応して、扉は開いたままになる」
ユメノ「じゃが、あの写真にその誰かとやらは写っておらんぞ?」
サイハラ「動く本棚の近くで写真の死角になる場所が一箇所だけあるんだ。動く本棚の反対側だよ」
ハルカワ「確かにそこにいれば動く本棚は勝手に閉まらないだろうし、写真からも死角になるから撮影されないね」
サイハラ「きっとその第三者はずっと天海くんの様子を伺っていたんだ、そしてほんの少し本棚を動かしてしまい、写真が撮影された・・・。こうすれば理由の説明が出来るんだよ」
ハルカワ「まぁ、ありえそうなことは分かったけど、それが何だっていうの?」
ユメノ「そうじゃ。あの事件の真犯人は白銀。そういったのはお主であろう最原よ」
サイハラ「それは違うぞ!・・・僕はまた間違っていたんだ。今冷静に考えると、白銀さんが犯行をするのは限りなく不可能なんだ」
ユメノ「んあ!?」
ハルカワ「どういうこと・・・?」
サイハラ「僕の推理の大前提。それは白銀さんが天海くんが図書室にいるタイミングで、隠し部屋で待機していることだ。そうしないと図書室の状況が分からないからね」
ハルカワ「マザーモノクマを経由してモノチッチの情報を知らないといけないからだったよね」
サイハラ「でも、それだと少しおかしいよ。白銀さんはそもそもどうやって天海くんが図書室に行ったことを知ったの?」
ユメノ「そんなのずっと隠し部屋で待機しておけばいいだけじゃろう。たまたま、隠し部屋に入った時に、天海が図書室にやって来ただけではないのか?」