『しんげき52話を見て』

「優良物件です。ご契約はお早めに」
「うーん、千夜ちゃん、決めちゃおっか?」
「お嬢様のお望みのままに」
「のぞみのママならはやぶさのおじいちゃんだね」
黒埼ちとせがそう言った時、ドアが蹴破られた。
「待ってください黒埼さん!」
「……はーちゃん……?」
それは、中野長者橋の不動産屋というシチュエーションを除けば、気まずい別れを経験した2人がその想いを抱えたまま再開した瞬間だった。
マンションポエムを愛していた久川凪は今や悪徳地面師となっていた。いや善良な地面師がいるのかどうか知らんけどね。
そして久川颯は弁護士になっていたのだった。
「消費税増税前に契約を、とかなんとか言われて契約を急がされたんじゃないですか?」
颯はちとせの手から契約書を奪って目を通した。
「駅から3分、40坪…やっぱり! これ、屋上農園ですよ」
「そんな……」
「40坪なんて素人の週末農作業じゃ管理しきれない……そこを突いて搾取するつもりだったんだ……」
本当なら、ここでなーはー再会編が始まって対決が始まる予定だった。それが屋上庭園なんて思いつくから。
「フフ、実は私、屋上庭園でアスパラガスを育てて千代ちゃんに食――」
「お嬢様!」
そして新田美波の野望のために凪が利用された末に自殺する予定だったのだが、予定を変更してお送りします。
「なー――お姉ちゃん……私、わかってたよ。お姉ちゃんが都心再開発プロジェクトに加担したのは
 私と一緒に暮らすためだって…… でも私、なーとならタワーマンションじゃなくても、木造アパートでもいいの……!」
「はーちゃん……」
そして姉妹は傷つけ合いながらも許し合うのだった。


次回、新田美波のあらたな一手とは――?