統合失調症の遺伝的共通性の解析研究をした岐阜大准教授の大井一高医師=岐阜市柳戸、同大
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 精神疾患の一つで、発症には遺伝的な要因が大きい「統合失調症」を研究する、岐阜大付属病院精神科准教授の大井一高医師(39)が、
日本人患者と発症していない近親者(親、きょうだい、子)、欧米の主な精神疾患の患者を対象に遺伝要因の共通性を解析した。その結果、
統合失調症を発症していない近親者では自閉スペクトラム症の遺伝要因が低く、
統合失調症の発症要因に何らかのつながりがある可能性が示唆された。「この違いがなぜ起きているかを調べることで、統合失調症の遺伝要因を持ちながらも発症に至らない理由、
発症予防の研究につながるのではないか」と大井医師は話す。

 統合失調症は神経伝達物資が過剰に分泌されることで幻覚、妄想、意欲低下、認知機能障害などの症状が現れる。精神疾患の中でも遺伝要因が8割と高く、
100人に1人の割合で発症する。10〜20代での発症が多く、治療法がないために抗精神病薬などでの対症療法が中心となり、患者は疾患と長く付き合っていかなければならない。

 研究では、精神疾患に限らず、病気の発症率には民族的な差が出るにもかかわらず、統合失調症では民族差なく人口の1%が罹患(りかん)する点に着目。
多くの遺伝子情報を集めてスコア化し特定疾患の発症リスクを予測する「多遺伝子リスクスコア」を用い、日本人の統合失調症患者、発症していない近親者、
欧米の主要精神疾患者(統合失調症、双極性障害、うつ病、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症)での民族差を超えた遺伝要因の共通性を探った。

 その結果、欧米人の自閉スペクトラム症に共通した発症リスクは、統合失調症を発症していない家族では低く、
逆に発症年齢が若い日本の統合失調症患者では欧米人同様に高かった。「統合失調症は日本、欧米の患者で遺伝的要因が共通していることが改めて分かり、
民族差なく一定数の発症であることが裏付けされた。逆に統合失調症の遺伝要因が高いにもかかわらず、発症していない近親者には自閉スペクトラム症の遺伝的な発症リスクが低かった。
この要因を解明できれば、統合失調症の発症を未然に防ぐ手掛かりにつながるかもしれない」と、大井医師は今後の研究に期待感を示している。

 研究論文は英国の薬理系学術誌の1月の電子版に掲載された。

3/25(水) 9:54配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200325-00226455-gifuweb-l21

統合失調症の8割は遺伝みたいだね。そう書いてある。