こうなるのかな?

薬物による依存症の回復を支援するNPO法人で働く大木由美子さん(41歳、仮名)も、10代の頃から市販薬乱用に苦しんだ1人だ。「どこにでも売っているし、危ない薬だとは思っていなかった」と、当時をそう振り返る。きっかけは、18歳のとき好意を寄せていた男性から勧められたことだった。嫌われたくないという思いから断れず、せき止め薬の「ブロン錠」を一度に20錠飲んだ。

「しばらくすると、悩んでいたことが頭から消え、『生きていてよかった』と幸せな気持ちになりました。魔法の薬のように感じたんです。それからドラックストアを何軒も回り、薬を買い集めました。せき止め薬と同じ成分が入った薬も試したり……。毎日のように店に通い、いろいろな薬を飲んでいましたね」

気づけば、薬はおびただしい量になっていった。1瓶84錠のせき止め薬を1日数回、その間にも鎮痛薬を常に飲んでいる状態だったという。大木さんは22歳のとき、精神科病院に入院。リハビリ施設で12年間の生活し、乱用を克服した。