近未来実録綺譚
ここは、かつての神奈川県、今は神奈川区と呼ばれる中国の一区である。
各地区の住民の中から召集された者が集められている。
中国人民解放軍の高官とおぼしき人物が声をあげた。
「私がこの周辺を担当する張志才である。ここに今、集められた日本人たち。
なぜ自分がここにいるか、分かるか? おい、通訳しろ。」
傍らの軍服着た人物に命じた。
日本人一同は戸惑いを隠せず、狼狽えるばかりであった。
「お前たちも承知のように、先の戦争の結果として小日本は愛知を境に東が
日本自治区、西が東海省という、中華人民共和国の一地域となった。
これより、中国共産党政府に対する反乱、反抗分子であるかの審査を行う。」
その場の一同はざわめいた。