Netflix、バブル終了で転換期へ? “ストリーミング戦争時代”にいかにメガヒットを生み出すか
https://realsound.jp/movie/2019/08/post-405121.html

2019年もNetflixの王座は揺らいでいない。
しかしながら、オリジナル製作の方針については議論が生まれている。
『OITNB』が完結した夏、Netflixは『トゥカ&バーティー』と『The OA』の継続キャンセルを発表した。
前者は女子の鳥同士の友情を描いた奇妙なアニメーション、後者は「とにかく意味不明」と評判の熱狂的考察ファンダムを築くSFシリーズだった。
どちらもクリエイター陣には女性の存在がある。
つまり、打ち切られた両作とも、ある面で『OITNB』につらなる、独創的で実験的な「Netflixでしか観られない」作品だったのだ。
製作本数が多いためキャンセル報も目立つ前提はあるにせよ、
深く愛された2つのショーのキャンセルは、4〜6月期の予想以上の米国会員減少と相まって「バブル終了後のNetflix転換期」として語れることとなった。

Netflixがショー継続の判断に用いる内部メトリクスでは、製作コストが視聴者数に見合うかが重要とされる。
そのうち参照されるデータ・バランスは随時変動されるが、重視される層は「登録したばかりの視聴者」「退会する可能性が高い/久しぶりにアクセスした視聴者」。
反して「定期的にアクセスする視聴者」のウエイトは減らされたという(2019年7月The Informationおよび翌月The Hollywood Reporter参考)。
ここからは推測にすぎないが、批評家から「年間最高傑作」と評された『トゥカ&バーティー』の視聴者層は、
熱心なドラマファン、たとえば『ボージャック・ホースマン』を完走しているようなNetflixヘビーユーザーが多かったのではないだろうか。
その場合、シーズン更新はより不利になる。

「新規会員を惹きつけにくいショー」として持ち上がるのが「つづきもの」だ。
Netflixはあまり長くショーを続けない。
前出2記事の情報源によると、人気作であろうとシーズン3以降は新規会員の獲得にあまり役立たないそうだ。
クリエイター側の報酬増加要求やボーナスの頃合いを鑑みると、シーズン2または3後のタイミングでショーを終了させるパターンこそ節約になる。
『The OA』がキャンセルとなったのはこの「シーズン3の壁」フェーズだ。
また、シーズン3製作が決定したエミー賞ノミニー常連『オザークへようこそ』にしても「人気は高いもののコストが価値を超えるポイントに接近している」と警告を受けたとされる。