安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり会計検査院が
約8億円の値引きの根拠が不十分と指摘したことについて、「次の予算編成に生かしていくのが私の責任だ」と述べた。

 一方、不適切な値引きを指摘されたことに対する責任は認めなかった。共産党の辰巳孝太郎氏への答弁。

 辰巳氏は「適切だと言ってきたものが適切でなかったのは首相の責任ではないのか」「最低限、国民に謝罪すべきだ」などと迫った。
首相はこれには答えず、「国有財産売却の業務の在り方を見直すことが必要と考えており、関係省庁においてしっかりと検討する」と述べるにとどめた。

 政府はこれまで、異例の値引きについて、地下3メートルよりも深い層で新たなごみが見つかったとの学園側の主張を認めた結果だと説明。
しかし、国側からこうしたシナリオを持ち掛けたことをうかがわせる音声データが確認されたため、政府の説明は揺らいでいる。

 学園が行ったくい打ち工事で掘り出された廃棄物混合土について、石井啓一国土交通相は
「地下9.9メートルの位置に存在する廃材が含まれる可能性はある」と改めて主張。
しかし、会計検査院の河戸光彦院長は、3メートルより深い層は「約1万8000年前以後に堆積した沖積層」と説明するとともに、
「廃棄物混合土は浅い部分に存在していたと考えられる」との見解を示した。

 辰巳氏は深い層のごみの存在を客観的な資料で証明するよう求めたが、
政府側は資料を示さなかった。辰巳氏は「存在してもいないごみのでっち上げではないか」と疑問視した。