>>681
「星君、カープへ行くって話は本気なのかい?」
「ああ、本気さ。いま巨人に入ってもどうせ2軍で塩漬けにされるだけじゃないか。よそのチームから次々カネでいいピッチャーを
連れてくるんだから。それよりカープで実績を積んでFA権を獲得する方が賢明だよ。で、30億円ぐらい契約金をもらって
メジャーへ行く。行ったらすぐ、肩を故障したってことにするのさ。もちろんドクターを買収してね。そしたらすぐ日本に帰れるだろ? 
日本に戻ったら、ギリギリまで契約金を吊り上げて復帰するのさ。チームなんてどこでも構わないよ、少しでもカネを多く引っ張れる
チームに入団する。それで2、3年ブラブラしたらさっさと引退さ。だって俺は、メジャーで肩を壊したピッチャーってわけだから、
マジで投げる必要もない。当然、本気で練習なんてしないよ。いま巨人に行くより、そのほうがトータルで見たらカネに
なるじゃないか。父ちゃんが言う、試練の道だの、男の誓いだの、何が何でも巨人、巨人、巨人…、なんてのは半世紀も前の話さ」
 「そうか、じゃ、宿命のライバルのキミとは違うリーグってことになるな」
 「なんだって、花形…」
 「僕もタイガースじゃなくてソフトバンクへ行こうと思ってる。孫さんの直々の誘いなんだ。先日食事を一緒にしてね、そのときに
話をしたんだ。ふふ、契約金も年俸もタイガースの倍さ。それに、もともとソフトバンクは毎年のように日本シリーズに出てる。
そんな強いチームなんだから、わざわざ僕が本気でプレーする必要もないだろ?経済界の連中との付き合いもあるしね。孫さんは
そのへんも理解してくれたよ。ま、適当にやって2割8分ぐらいの打率で流せば、ファンはバカだから喜ぶよ」
 「そうか、じゃ、交流戦か日本シリーズでの対戦ってことだな」
 「そうだな、ま、キミのことだから、お手柔らかに投げてくれるとは思うが…」
 「おいおい、そっちこそ、俺のボールをあまり派手に打ちまくるのはやめてくれよ、変に疑われたら困るじゃないか」
 「ふっふ、まあお互いビジネスだからね、これからも持ちつ持たれつのいい関係でいようじゃな」