>>703
ミニストップデブスババアが40代板荒らしてるから引き取れや

「ここの王将はいつも混んどるの。まあ、やれや」と谷尾は滓男のコップにビールをついだ手で自分のコップにも注いだ
「いまどき煙草吸える店て天然記念物もんやで」ロングピースに火をつけて、谷尾は勢い良く煙を天井に向けて吐き出す。
滓男が物欲しそうにテーブルの上のロンピーを見ているので「吸えや」と煙草の箱を指で弾いて滓男の方に滑らせた。
「へっへへ、すんまへんなあ」
滓男は抜き取って、安物くさい薄汚いブルゾンのポケットから使い捨てライターを取り出し、煙草を親指と人差し指でつまむ
ように持って口をすぼめて気ぜわしげに小刻みに吸い、パッパッと煙を出す。
その貧乏臭そうな所作に他人事ながら谷尾は顔をしかめた。
「パチはどないやってん。タバコ銭もないとこ見るとあかなんだやろな」
「お察しのとおりですわ。昔みたいにもう勝てまへんわ。わしの腕も落ちたし、なんや規制もきつなってどこも出玉締めてまん
な」
そこへ、店員が餃子、天津丼、焼きそば、ラーメン、チャーハンを運んできた。「これでご注文は全部ですね」と確認して立ち
去った。
「食えや」と谷尾は顎をしゃくった。
「最近ろくなもん食うてまへんねん。遠慮のうよばれまっさ」というなり、滓男はまず天津丼にレンゲを差し入れ、おそろしい速
さで食べ進めていく。
合間合間にビールを飲みながら2分足らずで平らげ、次に焼きそばにとりかかる。これまた行儀もへったくれなもなく片手で割
箸をくわえ割りして、ズバズビズバズバズビズズズズと焼きそばの方から勢い込んで滓男の口に飛び込むかのように啜り続け、
餃子の3〜4個焼きそばの上に乗せてそこへ酢醤油と辣油をかけ、焼きそばとともにいっぺんに食らいつく。
すでに滓男のテーブルの上は飯粒と麺の切れ端が散乱していた。(いやしいやっちゃ)谷尾は小さく舌打ちをして顔をそむけた。
「おまえ、もうちょっとゆっくり食えや。誰も取れへんがな。わしが周りに対して恥ずかしいがな」
「そんなこと谷尾さんみたいにボンボン育ちの人なら言えま。わしら物心ついた時から、激しい生存競争にさらされてましてん。
7人兄弟でただでさえ少ないおかずの取り合いでんがな。時々親までが参戦してちゃぶ台ひっくり返してまで餌の奪い合いしてま
したんや。せやからちょっとでも早よ食わな取られ…」
「わかった、わかったとにかく口にモノ入れてべらべらしゃべるな」
谷尾は滓男の口から飛来してきて我の顔にへばりついた滓男の食いカスを汚らしそうにハンカチで拭いながら、彼の饒舌を制した。
飢えた豚でさえかくも汚い食べ方はしないだろうという滓男の食事は10分そこそこで終わった。ラーメンも炒飯も餃子も滓男ひとり
できれいに完食したのである。