ではなぜ欧米列強が帝国主義に対する非合理性を見出しており、日本もそれを認識していたのに、
その非合理な帝国主義を一周回ってやろうとしたのかといえば、それは国家が必ずしも一つではないからだ。

たとえば内務省(霞が関)は、帝国主義には余り乗り気ではなかった。コストばかりかかり、それに見合わないと。
国家全体の収支でいえば、帝国主義は非合理なのだ。

けれども局所的に見れば、得をする人もいる。つまり開発権を与えて、その見返りに賄賂をもらう、等である。
そうやって軍部は、内務省官僚も引き込んだ。

軍部が帝国主義だったのは組織の拡大主義だろう。つまり自分たちが大きくなれば国政における立場も大きくなる。
戦争が起きれば軍産共同体も形成され、軍人官僚の懐も温まる。