新型コロナとワクチン本の出版が遅延した理由
2021.03 近藤誠がん研究所

『新型コロナとワクチンのいちばん大事な話』は当初、2月2日に全国書店で販売開始の予定でした。

ところが1月28日に突如、刊行中止となりました。予約されていたかたには取り消しの連絡が届き、当惑されたと聞いております。お詫びをかねて、経緯を記す次第です。

刊行中止は、本がほぼ刷り上がった段階で、日本文芸社の社長が突然、言い出したものです。社内は「どうして?」「前代未聞」と混乱し、反対した役員・社員もいたようですが、社長権限には太刀打ちできず。

僕は翌日、社長とお会いして、刊行中止の理由を問いました。

「なぜですか?」、「弊社から出版するのは適当でないと思いました」。「その理由は?」、「……」。「医薬品業界からの圧力ですか?」、「それはまったくないです。まったくない」。「ではどうしてですか?」、「……」。「中身は読まれたのですね?」、「ハイ」、「それだと憲法が禁じる『検閲』行為になりますね」、「表現の自由を守るべき出版社の社長が、検閲を率先実行するとは嘆かわしい」。

ともかくも出版契約は解除され、そのあと新たな版元(ビジネス社)を見つけて、『こわいほどよくわかる新型コロナとワクチンのひみつ』の書名で、無事出版の運びとなったわけです。