SNSで工作がしやすくなった
ネットリテラシーが低い日本は危うい


情報戦、心理戦、そして認知戦
佐藤 雅俊著

インターネットの発達により、「認知戦」は世界の深刻な脅威となっている。認知戦とは「偽情報により相手の認識を誤った方向に導き、判断を誤らせる」ことなどを指す。ソーシャルメディアの発展により、個人の思考や信念を把握し、「カスタマイズされた情報」を特定の対象に配信し、その認知や心理を誘導することが可能になった。これが従来の心理戦と認知戦の大きな違いである。主要な戦争の歴史を情報戦、心理戦、そして認知戦から読み解き、現代の技術の発展と相まって、情報をめぐる戦いがどのように発展し、どう対処すべきかを明らかにする!

レビュー
廣瀬 陽子(慶應義塾大学総合政策学部教授)……認知戦の影響力は極めて大きく、気づかないうちに洗脳されていることも少なくない。実は誰でも書き込みができる日本のインターネットのコメント欄にはAI翻訳などを用いて、ロシア人などが書き込んでいる例も散見されるという。そして、幸か不幸か、AI技術の発展は、翻訳機能も顕著に向上させ、かなり自然な日本語訳を可能にしているようだ。何気なく読んでいる他人のコメントに、実は深刻なプロパガンダが含まれている可能性も否めない。我々は、常に認知戦の攻撃にさらされていると考えるべきであるし、それは国民一人ひとりがしっかりと認識し、備える必要があることを意味する。本書は、認知戦の実態、恐ろしさだけでなく、どのように対応していけばよいかについても重要な示唆を与えてくれる。(「解題」より)

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