「逃がすなよ…」

気付かれないように足早に近づいていくと、逃げられないように背後からバッグを掴んで、高校生を取り囲んだ。

「オイッお前、ちょっと来いよ」
「えっ…なに…?」

突然の出来事に驚いた様子の高校生は、俺達の顔を見ると、すぐに自分が置かれている状況が理解できたらしく
慌てて逃げ出そうとするも、S田S雄様がすぐに腕を捕まえるとそこへ先輩がすぐさま腹に1発パンチを入れた。
高校生は「!!!」と悲鳴にならない声を上げてその場にしゃがみ込んだ。
S田S雄様と他の先輩達がニヤつきながらお互いの顔を見合わせていると、
お腹を抱えている高校生に俺と同年のIが軽薄な笑いを浮かべながら声をかけた。

「頼みが、有るんだけどさぁ」
「痛っ…た…お金なんか、持って…ないよ…」