>今の丹羽には雷電将軍の助けが必要なのだと傾奇者は理解した。だが、当時の雷電将軍が既に自身を材料に完璧な人形を作り出し、統治の職責を「永遠の守護者」に託していたことを彼は知らなかった。小船に乗り、海の雷雨と嵐を乗り越えて、危険を顧みることなく天守閣へと辿り着いた彼は、雷電将軍との面会を求めた。
しかし、真の雷電将軍はとうに一心浄土に身を置いている。傾奇者の面会は何度も拒否された。切羽詰まった彼は例の金色の羽根を取り出して周りに見せると、代わりに八重神子との面会を求めた。
永遠の守護者を補佐する仕事に追われていた八重神子は、このことを聞いてすぐに駆けつけたが、酷く焦る傾奇者とはたった一度しか顔を合わせることができなかった。彼女はすぐにでもこの件に取り掛かると約束するも、堪忍袋の緒が切れた傾奇者はそれを無視し、幕府がたたら砂を見捨てたという絶望だけを持ち帰った。

株の上がる妾🤘🦊