>>796

「今日は自己紹介、緊張した-4? 何これ超キモ~い!」
翌朝、教室へ入ると珊瑚宮さんの鞄がバーバラ達に漁られていた。彼女達の常套手段である"荷物チェック"で虐めているのだろう。珊瑚宮さんはというと、バーバラの取り巻き達に身体を抑えられ、涙声で「かえして~」と言うだけである。
「今どき日記つけるとかメンヘラじゃんwしかも気持ち悪い題名の本がいっぱい入ってるんだけどwそれにタイトル長いしw心海ちゃんってキモオタなんだねw」
バーバラは、彼女らしい語彙力の低い言葉で珊瑚宮さんの羞恥心を煽っている。当の俺への虐めは椅子に画鋲を置かれる等軽いものへと変化していたが、代わりに珊瑚宮さんが標的となっていた。可哀想ではあるが、これで俺への悪意が薄れれば後は目立たずにいるだけで学校生活を終えられる。
「キモオタ同士あのデブと仲良くなれるかもねw休み時間楽しみだねー。」
バーバラ達はそう吐き捨てると満足したのか、自分達の机へと戻っていった。珊瑚宮さんは泣きながら散乱した荷物を鞄へと片づけている。俺は彼女達に怒りを感じながらも、一言も抗議の声を挙げられない自分が情けなくなってしまった。
俺達二人の心とは裏腹に晴天の中、1限目のチャイムが鳴り響いた。