■おとなしい子どもがゲーム機をたたきつけた

 最後にもう1つ、「スプラトゥーン」によって壊れた家族の事例を紹介する。

当時小学6年生のミサさん(仮名)が「スプラトゥーン」を始めたのは2016年。めきめきと上達し、ランクはS。学校から帰ると夕飯を食べる間も惜しんで「スプラトゥーン」をやるようになった。
普段はまじめでおとなしいミサさんだったが、2016年夏のある晩、ネット対戦で味方に激高し、ゲーム機Wii Uを「わー!!」と叫びながらテーブルにたたきつけた。
両親が強く注意すると、逆ギレして最後は自室にこもってしまった。父親は人格を変えるこのゲームに恐怖を感じ、スプラトゥーン禁止令を出した。

 世界保健機関(WHO)は2018年6月にゲームに依存している状態を「ゲーム障害」という名前で、疾患として認めた。今年5月にものWHO総会で承認される予定だ。
 各種依存症の特徴としては「依存対象との接触のコントロールができないこと」「依存対象に接触する強い欲求があること」が挙げられ、
そして、それらが原因でトラブルを起こしても依存対象との接触がやめられない状況を指すと言われている。

 そして、生活や仕事、家族よりも依存対象との接触を優先してしまう。「自力での依存症からの脱出は無理」で、専門家のカウンセリングや家族の協力が必要だとされている。