任天堂の家庭用ゲーム機『Nintendo Switch』の新モデルとなる『Nintendo Switch(有機ELモデル)』が10月8日に発売されたが、なかなか入手できないことが話題になっている。ただ、これは発売直後だからまだわかる。昨年11月の発売から1年近く経とうとしているのに、いまなお手に入らないと嘆く人もいるのが『PlayStation 5』(以下、PS5)だ。

 人気ゲーム機は発売時の出荷数が少なく、購入の際は抽選制になるケースも多いが、発売から1年近く経とうとしているのに、いまだに入手困難な『PlayStation 5』にの販売事情はどうなっているのか。手に入れやすい方法はあるのか。ゲーム業界に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。

「各量販店や通販サイトが不定期でPS5の抽選販売を行っていますが、いずれも相変わらずかなり高倍率をキープしたままのようです。また、以前はAmazonがゲリラ的に先着順の販売をしていましたが、この10月には抽選販売をおこないました。しかしそれもやはり倍率が高く“落選祭り”でした」(藤井氏)

 AmazonでのPS5抽選販売では当選者にメールが配信され、そこから24時間以内に購入しないと権利が失われるというルールだった。

「当選決定から購入までの時間制限が設けられているのは、Amazonに限らずほかの通販サイトでもよくあるシステムです。しかし“当選したときのみメールを配信”というケースも多く、“どうせ当選しないだろう”と思っていた購入希望者が当選メールに気づかず、時間が過ぎてしまい、結局買えなかったというケースも頻出しているようです」(藤井氏)

 すでにPS5の購入抽選に20回以上落選し続けているというゲームファン、東京都在住の男性・Aさん(40代会社員)はこう話す。

「昨年11月の発売時から、何度も通販サイトの抽選に応募しています。主に家電量販店ですが、まったく当たらない。そもそも抽選に参加するチャンスもあまりないんです。抽選が行われる時期は決まっていなくて、いつも急。情報サイトなどをこまめにチェックしていないと、抽選があったことにすら気づかず終わってしまうことも多いです。SNSでは“○○でPS5が売っていた”みたいな投稿を見つけることもありますが、もちろん店頭販売なんであっという間に売り切れになってしまう。どうやって手に入れればいいのか、皆目見当がつきません。絶望的です」(Aさん)

 一方で、あえて“店頭販売”を狙っているというゲームファンもいる。神奈川県在住の男性・Bさん(30代会社員)は、毎朝TSUTAYAを覗くのが習慣になっている。

「以前、SNSで“TSUTAYAでゲリラ的にPS5を店頭販売していた”という投稿を見たことがあって、それ以来、毎朝出社前に自宅の最寄駅前のTSUTAYAと会社の近くにある大規模なTSUTAYAのゲームコーナーを覗くことにしています。現時点ではまだ売っていたことはないのですが、いつか買えるんじゃないかと淡い期待を抱いて……」(Bさん)

 ディスクドライブを搭載した通常モデルのPS5の希望小売価格は5万4978円、ディスクドライブなしの「デジタル・エディション」は4万3978円だ。フリマサイトなどでは、高額での出品も多い。前出・藤井氏が語る。

「転売を防止するために、各オンラインショップでは過去に購入履歴がある人のみに販売したり、ショップの会員カードが必要だったりといった形で、購入資格のハードルを高くしています。しかし、フリマサイトなどでは、転売目的の出品がまだまだ見受けられる状態。通常モデルのPS5であれば、8万円台後半から10万円くらい、デジタル・エディションなら7万円から8万円くらいの価格となっています。この価格からも、いかにPS5が品薄であるかがうかがえます。また、PS5の品薄状態は、2022年になっても解消されないと予測されており、この状況は簡単に変わらないでしょう。

 一方で、『Nintendo Switch(有機ELモデル)』も当分は品薄状態となりそうですが、同じソフトがプレイできる旧モデルの『Nintendo Switch』や『Nintendo Switch Lite』も購入可能ということで、PS5に比べて早い段階で品薄が解消されるのではないかと予測できます」

 新しいハードが登場するのはゲームファンにとって歓迎すべきことだろうが、手に入らないければ意味がない。ゲームファンの懊悩はまだまだ続きそうだ。

https://www.moneypost.jp/uploads/2021/03/05/ANPjiji_ps5-750x500.jpg

https://www.moneypost.jp/842400