しかし、クライヴの身になって、彼の過去を歩き回る体験には、ゲームならではの良さがしっかりとあった。彼の生まれ育ったロザリア公国はどういう国なのか。
城下町やお城の前を歩くことで、いろいろなことがわかった。
ドミナントになれなかったクライヴを冷たくあしらう母親である公爵夫人アナベラの陰口を言う庶民など、NPCの様々な会話が聞こえてくる。
彼らがパンを焼いたり、庭の手入れをする際に魔法を使うのも、自分の足で歩いたからこそわかることだ。この世界で魔法は日常的に使う、当たり前の存在らしい。
それにしても、クライヴはなんだか気の毒だな。そんなことを考えながら、美麗なグラフィックスによって再現されたヴェリスゼアを歩いた。


PS5に特化して開発されたからか、ビジュアルはとにかく精細であり、リアルであると同時に幻想的な雰囲気を帯びており、美しい。
これまでの映像は暗めな印象を抱かせたのかもしれないが、明るくて癒されるような景色も少なくない。嘘偽りなく、PS5で見た最もきれいなゲームのひとつである。
冒頭の3時間だけでも山岳地帯、城下町、沼地、森林などロケーションは激しく変化し、視覚的なバリエーションに富んだ贅沢なゲームであることがわかる。