だいぶ下の方まで来て、無名のコンビニみたいな個人商店があったのでそこで缶コーヒーを
買って飲んだんだけど、そこの店の人がおじいさんなんだけどさっきの家の話をそれとなく聞いてみたんだ。

「まだ生きとるんかい」っていうじいさんのセリフが印象に残ってる。
あの三人は下の村、つまりじいさんの店がある集落の人間らしい。
そこで精神を病んだ次女と三女の面倒を見る長女と母親の4人の女で住んでいたらしい。
次女と三女が病んだ原因は母親の虐待らしく、結果長女が母親だけが寝ていた家に放火し
3姉妹は事情もあるからということで村人の総意のもと「罪に問わないが出ていけ」
という結末になったらしい。それが30年以上前でそんな小屋に電気も水道も通っていないのにどうやって?
と聞くと、夜になると村のゴミ捨て場からゴミ袋2〜3袋と共同水道からバケツで水を持っていくらしい。
でもこの2〜3年姿も見なくなり薄々無くなったんじゃないのかっていうのがじいさんの見解だった。

俺らは3人でゾッとして店を出て話をした。まさか登り下りが無理な年齢だから湧き水や、木の根っことか食って生きてるのでは?
だから顔が土色ぽいのでは?
など想像したくもなかったけどみんなそこから無口になってバイクまで歩いた。

「あ!」っと旧セロくんが上を見上げると黒い煙がもくもくと上がっている
あそこってあの民家の!
110に電話しろ!え?なんで
消防に連絡したがみんなで決めて上に戻るのは止めておこうということになった。


その後はあの三人がどうなったかは俺は知らないが、ハくんがずっと携帯灰皿の中を泣きそうに見ていたのは忘れられない。