友人の話。

幼い頃、山中の実家へ遊びに行った時のこと。
祖父と一緒に庭で竹馬に挑戦していると、不意に背後で異音がした。

べしゃりっ

振り向いてみたが、何も黒土の上には確認できなかった。
気を取り直して竹馬に取り組み直したが、しばらくするとまた同じ音が聞こえた。
何度も聞こえると流石に無視出来なくなり、祖父に「変な音がする」と訴えた。

「ありゃよく熟れた柿が落ちる音だ。心配要らん。
 お前は聞いたことがないから知らんだろうが、儂には懐かしい音でな」

こってぃーはあっさりとそう答えた。