0001名無しさん必死だな
2018/05/06(日) 12:15:03.47ID:EjzBvlaT0物語
ある森に、狼によく似た人食いの化け物が住んでいました。その化け物は恐ろしい姿に似合わぬ美しい歌声を持ち、月夜の晩には誇らしげにその歌声を響かせていました。
しかし、その夜はいつもと様子が違いました。狼の化け物が小高い岩の上で歌を歌い終えると、どこからともなく拍手が聞こえてきます。
狼がそっと岩の下をのぞくと、身なりの良い少年がこちらを見上げていました。森のそばにある小国の王子が、狼の歌を聴きに来ていたのです。岩がジャマで、王子からは狼の姿が見えていないようでした。
ふだんの狼ならば、すぐに王子を捕らえて食べてしまっていたことでしょう。しかし、狼は王子を見逃しました。それは単なる気まぐれでした。