吉P「PCエンジン mini」を大いに語る

――今回吉田さんに質問したかったのは「PCエンジン mini」です。ハドソン出身の吉田さんに発表の感想を聞きたかったんです。どう感じましたか?

吉田氏: えっ?? 知らないですけど、E3でそんな発表があったんですか?

――ありましたよ。本当にご存じないのですか?

吉田氏: 知りませんよ。忙しすぎて情報を遮断しているんですよ。Twitterに「PCエンジンのタイトルに吉田関わっていたのかな?」とか書いてあって、何で今頃PCエンジンとか「天外魔境」の話をしてるんだろうなと思ったんですが、「PCエンジン mini」だったんですね(笑)。
逆質問ですが、それはどういうタイトルが遊べるのですか?

――まだ一部しか明らかになっていませんが、「PC原人」、「R-TYPE」、「THE 功夫」、「ダンジョンエクスプローラー」など、国内版、海外版それぞれタイトルが違うようですが、懐かしの名作がリストアップされていましたね。

吉田氏: それ完全に初期じゃないですか。
「R-TYPE」はそれこそ死ぬほど遊び込みましたからね。僕はアーケードでクリアしているんですけど、PCエンジンの「R-TYPE」を遊んだ時に、本当にゲーセンのままの移植になっていて、「こんなに遊べていいんだろうか?」と思ったぐらいよくできていました。

あとは「THE 功夫」。あのドットのデカさが、処理落ちなく動くってPCエンジンの性能凄いなって思ったんです。
ゲームとしては大味もいいとこですけど、あれはよく覚えていますよ。あの巨大なキャラクターをドットで動かすのは当時凄いことだったんです。

 「ダンジョンエクスプローラー」も秘話がありますよ。もう時効だと思いますが、僕がハドソンに入社して辞めるまでの間に、「ダンジョンエクスプローラー」の新作を作っていました。
PS2向けのマルチプレイオンラインゲームを作ろうとしていて、当時会社でかなり良いメンバーを社内で集めて、開発機をもらって、プリプロダクションを立ち上げて、3カ月ぐらい作りました。それを僕は「ダンジョンエクスプローラー」の復活にしたいと言っていたんです。

 「ダンジョンエクスプローラー」自体は外で作っていただいたタイトルだったので、版権周りを確認して上で復活させたいと。
1つのハードでローカルマルチじゃなくて、オンラインで4人でやりたいと。僕は「Diablo」が大好きだったので、「Diablo」みたいなハクスラベースのゲームになっていて、3カ月ぐらいでプロトタイプを作って凄いスピードで開発していたんですけど、
とある日、上司に「中止だ。『ボンバーマン』作れ」と言われて、それでカチンと来て辞めたんですけど(笑)。「ダンジョンエクスプローラー」は良いですよね。盛り上がりますよ。

――PCエンジンの名作が吉田さんのハドソン退社に関わってるとは知りませんでしたね(笑)。いちPCエンジンファンの吉田さんとして収録して欲しいタイトルを1つ挙げるとすれば何ですか?

吉田氏: 「天外魔境」は外せないでしょう。
ただ、スペックがわからないので、容量が入りきるのとか、版権周りがどうなっているのかわからないですけど、できれば入れて欲しいですよね。というのも「天外魔境」は、今、当時の環境でちゃんと遊べるハードがないからです。
超名作だと思うので、せめて「天外魔境II 卍MARU」まではちゃんと収録して欲しいですよね。

 ちなみに僕は幻の「天外魔境III NAMIDA」の開発に関わってました。「天外魔境III NAMIDA」は結局発売中止になって幻になりましたが、実は7割ぐらい完成していたんですよ。
僕はハドソンの最初の仕事がそれでした。村人のメッセージを全部僕が書いて、広井さん(広井王子氏、「天外魔境」シリーズクリエイター)にチェックしていただいていました。
それからゲーム内のイベント、ミニ劇も僕が統括していました。もったいなかったですよ。
超良くできていたのに。という感じで、この話、3時間ぐらい喋れちゃいますので、また別の機会にしましょう(笑)
https://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/1189186.html