――独立を考える理由となったのは、作品制作における制約などがあったのでしょうか?

志倉 上場企業にとって、予算の関係上、決められた期間で作品を発表、発売できるかは重要なことです。
ものづくりにはさまざまな制約がありますよね? たとえばハードによっても作れるものは違いますが、いわゆる“大人の事情”も制約のひとつです。
その中でどんなすばらしいものが作れるか、それが最終的な作品の評価になると思っています。

――制約はものづくりの前提であると。

志倉 そういった時間という制約も含めて、改めて考えたいと思ったのです。
今回の決断は、時間をテーマとする選択でもあります。
もちろん、これからも制約は受け続けるのですが、制約と自由とのちょうどいい落としどころとして、MBOに至ったわけです。
あくまでも主観ですが、僕はクリエイターとしてはワンマンなタイプかもしれませんが、経営者としてはそうではない、と思っています。
事実として、MAGES.という会社はチームや組織でなければ解決できない問題が多い、エンタメ全方位の企業なのです。今回は制約と自由の真ん中、まさにこれこそが“シュタインズ・ゲートの選択!”だったのかなと……(笑)。

――世界線の分かれ目だったと(笑)。作品のリリースに踏み切るタイミングをコントロールしたかった?

志倉 クリエイティブや経営判断に関する考えかたが、自分とドワンゴとで少しズレていたのかもしれません。
加えて、これまで10年ほどお付き合いさせていただいてきて、グループ企業でなくなっても、引き続きお仕事でごいっしょできたりする部分はあるかなと思ったのです。
すでに、いまも継続してつぎの仕事のご相談をいただいているところなので。
https://s.famitsu.com/news/201909/17182744.html