06年にサービスを開始したPSNは、19年3月時点の利用者数が9400万人にのぼる。登録自体は
無料だが、月額850円(19年8月から。それ以前は514円)でオンライン対戦やチャット機能が楽しめる
有料サービスのPS Plusが3600万人の会員を獲得しており、単純計算で年間3672億円の売り上げが
見込まれるほどだ。

 PSNには、PS Plus以外にも、選んだタイトルが遊び放題になる「PlayStation Now」を
はじめ、音楽、ビデオ、テレビ配信などのさまざまな継続課金サービスが用意されている。
世界最大のゲームのサブスクサービスと言っても過言ではないだろう。


 では、なぜソニーのサブスクサービスはこれほどの会員数を獲得できたのか。吉田氏は次のように
指摘する。

「PS Plusに入らないとオンライン対戦が楽しめないことが、もっとも大きな要因でしょう。
また、人気タイトルを追加料金なし、回数や時間の制限もなく遊べる『フリープレイ』サービスは、毎月
タダでソフトがもらえるようなもの。会員ならゲームのアイテムが割安で買えることなどもあり、ユーザーに
とっては会員にならない理由がないのです」(吉田氏)

 まさに、ユーザー心理をうまく突いた戦略が
奏功したといえそうだ。また、ディスクレスの普及も大きいという。

「ゲームソフトを現物のディスクで
所有したいと思っているのは、もはや一部のマニアだけです。ダウンロード版のほうが入手が簡単ですし、
手っ取り早い。ゲーム関係がすべてネットで完結しているユーザーは、いわゆる“課金”に対する
ハードルも低いため、サブスクサービスにもお金を出すのでしょう」(同)

 かつては友達同士で
ディスクを貸し借りをするのもゲームの楽しみのひとつだったが、もはやそんな時代でない。
ゲーム友達がネット上にしか存在しないという人も多く、サブスクをはじめとしたオンラインサービスが
ゲーム業界で普及するのは、ある意味で必然といえる。現在のような状況を見越してか、10年以上
前からPSNを開始していたソニーには先見の明があったということだろう。