PS5は,その巨大なサイズが大きな影響を与えているように見える。過去の例を見ても,大きいサイズのゲーム機が成功した事例は見られないのである。
にも拘わらず,輸送コストの上昇,機動的な生産調整ができないというデメリットを覚悟のうえで,このサイズを選んだのは,その高性能が影響している。

 おそらく,このようなロジックに基づく結果だと思われる。
 「ゲームソフトこそが販売の決定的要因である。とくに,サードパーティのフォトリアルAAAタイトルが雌雄を決する。
であるならば,性能を一定水準にしないと,ゲームソフトが供給されず,プラットフォームビジネスが維持できない」

 これが大前提だと考えるとPS5とXbox series Xが高性能で巨大なゲーム機なのも説明が付く。
問題は「これが事実なのか?」である。

 エース経済研究所では,ユーザーは,高性能なゲーム機を求めている訳ではないと考えている。
こう言うと驚く方が多いと思うが,データ的にも明らかである。
 性能が低いとされるWii,Switchは,高性能とされるPS4の四半期の販売(着荷)データを比較しても遜色がなく,
性能が低くても高くても販売に相関性があるように感じられない。とくにPS4は性能的に同一なのに,日本と海外で勢いに顕著な差が出た。
ユーザーが一律に性能を求めているなら,このような差は起こらないはずである。

https://jp.gamesindustry.biz/article/2007/20073002/screenshot.html?num=002
https://jp.gamesindustry.biz/article/2007/20073002/SS/002.jpg

 結局のところ,PS5のこのサイズは,サードパーティの要望を聞いた結果だということなのであろう。
そして,SIEとMicrosoftにとって,意見を求めるべきはユーザーではないと考えている風に見える。

 ユーザーは果たして大きなゲーム機を望んでいるのだろうか? エース経済研究所では,疑問に思えるが,
杞憂と思う方も多いかもしれない。これが杞憂かどうかは,来年には明らかになっているだろう。