http://www.ace-sec.co.jp/daily/analyst/210204r6758.pdf

ゲーム事業が好調で増益
2021 年 3 月期第 3 四半期(累計)は、前年同期比 4%増収の 6 兆 7789 億円、同 12%営業増
益の 9053 億円、当期利益 1 兆 647 億円(同 1.8 倍)と増収増益。
主力のゲーム&ネットワークサービス事業が巣ごもり消費によるゲームソフト販売の好調、PS5 の
発売で同 29%増収の 1 兆 1127 億円、同 61%営業増益の 3092 億円と大きく伸長し、イメージン
グ&センシング・ソリューション事業の落ち込みをカバーした。
第 3 四半期実績は、エース経済研究所が前回上方修正した予想を大きく上回った。

PS5 の立ち上げで大幅増収を達成
主力のゲーム&ネットワークサービス事業は、PS5 の立ち上げと巣ごもり消費によるゲームソフト
販売が好調で、同 29%増収の 1 兆 1127 億円、同 61%営業増益の 3092 億円と大きく伸長した。
PS5の売上台数は、450万台と同社が空輸を駆使したこともあり、PS4並みとなった。ただ、販売
国・地域が大きく増えた結果、各国単位で見るとPS4を下回ったようである。特に、日本は発売から
12 週の実売台数が 31 万台(ファミ通調べ)と、PS4 の 54%の水準でしかない。
また、転売と見られる出品がフリマアプリや、オークションサイトに大量に出回っており、実際の需
要もよくわからない状況になっている。明らかなことは、パッケージソフト販売が相当弱いと見られる
ことと、PS5 のローンチに展開した国内サードパーティから良好な説明がないことである。
なお、ソニー側は PS5 の増産が当面困難であることを明らかした。現時点での売上台数目標は、
今期 760 万台以上、来期 1480 万台以上としている。これは、世界的な半導体不足が顕在化して
おり、ハンエインドゲーム機はその渦中にあるためである。

ゲーム事業の通期計画を上方修正
ソニー側は、ゲーム&ネットワークサービス事業の今期計画を売上高 2 兆 6000 億円⇒2 兆
6300 億円、営業利益 3000 億円⇒3400 億円に上方修正した。
エース経済研究所では、今期予想を売上高 2 兆 5000 億円⇒2 兆 6300 億円、営業利益 3500
億円⇒据え置き。売上高の上方修正は、PS5の売上台数を750万台としたため。営業利益は逆ザ
ヤ及び多額の空輸コストが掛かることを考慮した。
エース経済研究所では、PS5 の大きさやデザイン面に不安があるとしていたが、販売国数を増
やす一方、販売計画を PS4 並みとするとは見ていなかったため、各国が PS4 以下の売上台数に
なる状態は想定していなかった。
任天堂の故・岩田社長は、ゲーム機は勢いのビジネスであり、ハード販売が低迷すると、ソフトが
売れなくなり、ハードがさらに売れなくなる負のサイクルに入るとコメントしていたが、PS5 は転売需
要もあってこのサイクルに陥る可能性があると見ている。
ソニー側もこの点は認識しており、PS4 コミュニティを維持することで、悪影響を最小化したいとし
ている。しかし、そもそも 3 月から世界的に PS4 の大部分のモデルの供給が途絶えがちになるなど、
PS4 ビシネスを縮小する方向でビジネス展開していたため、実現するか未知数。
エース経済研究所では、普及するには大量に生産できることが肝要であると数度に渡って指摘
していたので、現状の生産体制には失望している。