――『ブレイブリー』シリーズはこの10年で大きなコンテンツに成長しましたが、お2人は『ブレイブリーデフォルト』というIPに対してどのような思い入れがありますか?

橋:先ほども言ったように『ブレイブリーデフォルト』は僕にとって初めて担当したRPGだったのですが、当時は浅野さんと一緒にがむしゃらに突っ走って作った記憶があります。

 過去のインタビューでも話したと思うのですが、1作目を作った当時、ウチの会社には「海外でも売れるタイトルを作ろう」というムーブメントがありました。それに合わせた開発方針や施策がドンドン打ち出されていたのですが、僕と浅野さんのチームは「まず、日本のお客さんがスクウェア・エニックスに求めているゲームを出すことも大切じゃないか」と考えました。

 僕や浅野さんが感じる“おもしろいRPG”の要素をギュッと詰め込んで作った『ブレイブリーデフォルト』は、僕らと同じ年代の方々にちゃんと届いて、「こういうゲームが遊びたかった」という嬉しい感想も目にしました。こういった声は国内だけでなく海外の方からも挙がっていて、それに気づいた任天堂さんが海外向けにも売りましょうと提案してくれました。結果、最初から海外想定で作ったゲームよりもしっかり海外ユーザーの心に響いて、『ブレイブリーデフォルト』は世界でも売れるタイトルとなったんです。

 「お客さんが何を求めているのか想像し、ターゲット層にちゃんと刺さるゲームにする」。このコンセプトのみに絞って制作した『ブレイブリーデフォルト』が、今ではこんなに大きなIPに成長してくれて感慨深いです。最初に携わったタイトルというのもあって、僕のなかでは一番思い入れがありますね。

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