【本編7】
数日後
アンパンマン「まだ誰も起きていないよね……」
僕は朝早くのパン工場を足音を忍ばせてあるいていた。
手に持つ少しかび臭い袋を大事に抱えて。
アンパンマン「この鍋があんを煮ている鍋だね」
僕は鍋の中身を全て捨て、袋の中身を逆さまにして全部あけた。
アンパンマン「少し火を通せば……うん、大丈夫だね」
かび臭さはあんの甘い臭いに掻き消された。
アンパンマン「昨日貰った頭はぐちゃぐちゃにして捨てた、今は新しい頭のストックはない……よし」
つまり次の頭には確実にこの鍋のあんが使われる。
僕は、パンを練る台に勢いよく頭をぶつけ、あんを露出させた。
それを一掴み鍋にいれ、溶けるように混ざり合ったのを確認し、床に倒れた。
転んで頭をぶつけたように見えるはずだ。
この記憶は体には残るのだろうか?

【本編8】
バタ子「アンパンマン……大丈夫?」
僕は目を開ける、バタ子さんの姿が目に入る、記憶が次々と浮かぶ。
アンパンマン「あ、あ、あ……」
ジャムおじさん「……アンパンマン?」
ノートに気が付いた今までの僕の記憶や思考や感情が一気に膨れ上がる。
アンパンマン「ややややっぱりやっぱりやっぱりやっぱりりり、き切り離された頭にも意志があってあってあってててて……」
ジャムおじさんとバタ子さんの酷く冷たい表情を目にした後は、まな板が降ってくるのが見えた。
僕は恐怖なんて感じるまもなく潰