突然ビッタの体が震え出した。
オレ「どうした?」
ビッタの目線は遠くに向けられていた。
そこにあったのはパチンコ店。
店を出た一人のおっさんがこっちに向かって歩いてくる。
オレ「おい、あのおっさんがどうかしたのか?」
ビッタ「あれ…オイラのトーチャンだ…」
オレ「えっ、そうなのか」
ビッタ「あ…」
トーチャン「ビッタ…」
その男はベンチの前までやってきた。
ビッタはおびえ切っている。今にも泣き出しそうな顔だった。
虐待への恐怖がビッタの脳に深く刻まれているのだろう。
男の背は高い。180センチくらいあるかもしれない。
体つきもガッシリしている。
中学生の力では、つかみ合いになったところでどうこうできるもんじゃない…
というのは見てすぐにわかった。