ネトフリ日本法人が12億円申告漏れ…国税指摘、売り上げ大半がオランダ法人へ

2022/3/21(月) 5:00
読売新聞オンライン
(写真:読売新聞)

米動画配信大手「ネットフリックス」の日本法人が東京国税局の税務調査を受け、2019年12月期までの3年間で計約12億円の申告漏れを指摘されたことが関係者の話でわかった。

配信業務を行うオランダ法人から業務に見合った利益の分配を受けていないと判断された。

売り上げの大半はオランダ法人に流れており、専門家は巨大IT企業への課税を強化する「デジタル課税」の導入を急ぐ必要性を指摘している。

関係者によると、日本法人「ネットフリックス合同会社」(東京都港区)は、国内会員向けのコールセンター業務のほか、映画やアニメなどを手掛ける国内の制作会社との契約業務などを担当。

19年までの3年間に、複数の制作会社に計百数十億円を支払い、配信権を取得した。

その後、ネットフリックスのオランダ法人が日本法人から配信権を取得し、インターネット上で配信サービスを展開。

この際、オランダ法人は日本法人が制作会社に支払った配信権取得費とその取得経費を日本法人に支払っていた。

これに対し、同国税局はオランダ法人が日本法人の貢献によって得た配信権を利用して巨額の利益を上げていたことに着目。

日本法人は配信権取得費と経費だけでなく、業務に見合った利益の分配も受ける必要があったと判断した。

同国税局は一般的な取引と比較するなどして日本法人に本来支払われるべき分配額を算定し、計約12億円が申告漏れに当たると指摘したという。

過少申告加算税を含む法人税などの追徴税額は約3億円とみられる。

日本法人は取材に「国税当局と討議して修正申告した」と文書で回答した。

一方、日本法人は国内会員から月額約1000〜2000円の視聴料を集め、19年12月期の売上高は約300億円に上ったとみられる。だが大半は配信業務を行うオランダ法人に「配信料」などとして支払われており、日本で納めた法人税額は3億数千万円程度にとどまったという。

オランダには多国籍企業への様々な税優遇制度があり、多くの巨大IT企業が拠点を置く。

ネットフリックスのオランダ法人は日本のほか欧州やブラジルなどで配信業務を行っているとされ、18年12月期の売上高は約55億ユーロ(約7300億円)に上った。

各国での売り上げを配信料名目などで集め、オランダで納税していた形になる。

◆ネットフリックス=2007年にインターネットで視聴サービスを開始。
15年に日本市場に参入した。
20年の全世界売上高は約250億ドル(約2兆9800億円)で、21年末の会員数は約2・2億人。コロナ禍の巣ごもり需要で業績を伸ばし、日本の会員数は500万人を超える。