『ディア・ハンター』はベトナム戦争へ出征したアメリカの若者を描いた作品だ。
なかに出てくるロシアン・ルーレットのシーンがよく知られている。
高倉健の説明がなければ「ずいぶん長くて暗い映画だな」くらいの感想しか持たないが、
ロバート・デ・ニーロに注目しながら見ていくと、確かに、彼は「機関車のように」助演の俳優たちを引っ張っている。
また、クリストファー・ウォーケン、ジョン・カザール(ゴッドファーザーの次男の役)など、本当にうまい役者だと思ってしまう。

『レイジング・ブル』は実在のイタリア系ボクサー、ジェイク・ラモッタの生涯を描いた作品だ。デ・ニーロはこの役でアカデミー主演男優賞を受賞している。
ボクサー時代と引退してから肥満した主人公を演じるため、デ・ニーロは牛乳とビールをがぶがぶ飲んで、体重を27キロも増やした。

役作りのためなら自身の健康など屁とも思わないのがデ・ニーロだ。高倉健はそうしたデ・ニーロの心情にもシンパシーを感じたのだろう。