好きで老いる人はいない。好きで体が不自由になる人もいない。
介護を必要としている本人のほうが、情けなく、つらく、悲しく思っていることだろう。

しかし、老いた親が、その孤独や恐怖、不安や、痛み、不自由さ、ありとあらゆる不平不満をぶつける先が、
こともあろうに主たる介護者(私)に集中することが問題をより複雑化させるのだ。

そして、私はこう思った。

「このままでは、母のことが大嫌いになる」。
だから、その前にこの問題に終止符を打ちたかった。
もし母が私のあずかり知らぬところで、
ある日突然亡くなれば、私は親不孝を泣くだけですむ、とすら思っていたのだ。