医者が何かを言っている。けど私には、耳には入ってくるけど聞こえないような状態でした。
でも、そンな中で、1つのフレーズが頭の中に出てきました。
「....ねば....きねば....いきねば.......生きねば」
今考えれば「そんなんで死なないよ」とツッコミを入れたい所ですが、その時は、
「生きねば。生きるために今、自分は何をするべきだ。情報だ。自分の現在の身体の状況を理解し、
HIVがどういう疾病なのか、今から自分はどうなるのか、何をするべきなのか、
正確な情報を集めることで正確な判断ができ、それによって生きることができる。
ということは今やるべきことは医者の説明を正確に理解し、HIVという病気と自分の身体状況を理解することだ。
あいつの話を聞くんだ!ショックを受けるのは後回しだ!今話してるあいつ言っていることを理解することにとにかく集中するんだ!」

と考えました。なんとか精神が肉体から抜けていくのを無理やり止めました。
そして、医者に「私がどういう身体の状況なのか、HIVはどういう疾病なのか、
そして自分はこれからどうなるのかを説明してください。」と伝えました。
今考えると、普段使われない生存本能が最大限に開花した瞬間でした。