歯の次にやってきたのが走力の衰えである。走ることがとにかく億劫になった。
もはや駅までの300mほどを走る気力もない。20m先の横断歩道の青信号が点滅している場合、
以前はダッシュをして信号が赤になる前に渡ろうとした。
だが、今は電車を1本逃そうが、赤信号を待つことに何のためらいもなくなった。
「走るくらいなら数分のロスなんてどうってことない」とまで思うのだ。
走りたくない理由は、走り終わった後にぜーぜーと息切れしてしまうのがイヤなのに加え、
正直オッサンがオフィス街を必死の形相で走っているのは「みっともない」と思うようになったからだ。
また、筋トレももうやめてしまい、部屋においてあるベンチプレスにはもはや触れることもなくなった。